SATO Wataru Laboratory
ヒトおよびアンドロイドの表情模倣を受けると共感体験とオキシトシン放出が喚起される
(Hsu, Minato, Shimokawa, & Sato: Comput Hum Behav Rep)
表情模倣を受けることは,主観的な共感体験を増強する.
しかし,ホルモン反応への影響を調べた研究はない.
また主観反応とホルモン反応を誘発しうるロボットによる表情模倣の効果を調べた研究もない.
我々は,ヒトおよびアンドロイドによる表情模倣を知覚することで,共感体験とオキシトシン放出が喚起されると仮説を立てた.
2つの実験を実施した.
女性参加が,2名の審査員と交互に対面する様々なシナリオを体験し,片方の審査員のみが大半の試行で参加者の表情を模倣した.
実験1ではヒト女性の審査員を,実験2ではアンドロイド女性の審査員を用いた.
その結果,表情模倣を行うヒトおよびアンドロイドの審査員は,より共感的で好感度の高い評価を得るとともに,唾液中オキシトシン濃度を上昇させた.
偏相関解析により,アンドロイド審査官のヒトらしさが,ヒトとアンドロイドの相互作用における唾液中オキシトシン増加の独自の予測因子であることが示された.




こうした結果から,ヒトから表情模倣を受けることで,主観的およびホルモン的な共感反応が促進される可能性が示される.
さらに,アンドロイドの表情模倣も同様の反応を引き起こすことができると示され,アンドロイドの表情模倣が共感を表現しユーザーとの社会的絆を強化し相互作用の質を向上させる上で有用である可能性が示唆される.
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