SATO Wataru Laboratory

行為・感情質問紙日本語版(J-AFQ)の文化間の差異と心理特性


(Huggins, Cameron, Scott, Williams, Yoshikawa, & Sato: Front Psychol)



目的:非言語感情コミュニケーションの18項目の自己記入式質問紙である行為・感情質問紙の日本語版(J-AFQ)の心理特性を評価するとともに,その文化間の差異を検討することを目的とした.

方法:J-AFQを,日本人成人500名(20〜49歳、男性250名)を対象に実施した.
日本版Broad Autism Phenotype Questionnaire日本語版(BAPQ-J)およびEmpathy Quotient(EQ-J)を同時に実施した.
これらを,イギリスとアイルランドの参加者597名(年齢16〜18歳、男性148名)と比較した.
J-AFQは,確認的因子分析による妥当性の評価と,ピアソン相関によるBAPQ-JおよびEQ-Jとの収束性の評価を行った.
内的整合性と特異項目機能(DIF)を評価し,日本人とイギリス・アイルランド人参加者の間で比較した.

結果:J-AFQでは,逆転項目は項目-全体の相関が低かったが,これらを除くと13項目となり,内的一貫性と内容的妥当性が高かった.
英語版と同様に,J-AFQスコアはEQと相関し,BAPQスコアとの相関は低かった.
しかし異文化間で比較すると,日本人サンプルではJ-AFQスコアが有意に低く,J-AFQの半数以上の項目で国による重要なDIFの証拠が見られた.

結論:自己報告に対する態度の文化的違いや逆転項目への同意の増加は,日本文化における18項目尺度の価値を制限する.
しかし13項目からなるJ-AFQは,運動的共感の有効かつ信頼性の高い尺度であり,英語版と合わせて運動認知や非言語的な感情コミュニケーションに関する通文化研究に有用である.




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