SATO Wataru Laboratory

健常群の強迫性傾向と皮質線条体-辺縁系の相関


(Kubota, Sato, Kochiyama, Uono, Yoshimura, Sawada, & Toichi: Psychiatry Res Neuroimaging)



強迫性傾向(例えば過剰な心配)は健常群にも多い(5〜13%).
しかし,健常群の強迫性傾向の構造的神経基盤は不明である.
強迫性障害の知見から,皮質下および皮質の構造−皮質-線条体-皮質の回路および辺縁系の回路−が,強迫性傾向と関係していると仮説を立てた.

我々は,こうした領域の体積を調べるため,49名の健常群を対象として構造的脳画像を解析した.
こうした領域と共変動を示す領域も調べた.

強迫性傾向との対応が,左側被殻および左側扁桃体の体積において示された.
共変動の解析から,強迫性傾向が高くなると,左側被殻と両側内側前頭前野,左側被殻と左側小脳,左側淡蒼球と両側前部帯状回の体積の共変動が高まることが示された.




こうした結果は,強迫性傾向と関係した神経可塑性を反映するかもしれない.
こうした脳構造の問題は強迫性障害でも示されることから,強迫性傾向のある健常群は「神経的な強迫性傾向」を共有すると言えよう.


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