SATO Wataru Laboratory

アンドロイドは「ただ今データ読み込み中」をどう表現するか:思考顔の特性を検証する


(Namba, Sato, Namba, Diel, Ishi, & Minato: Int J Soc Robot)


「思考顔」とは,思考中であることを伝えるための顔信号である.
アンドロイドにとって,人とロボットの自然なインタラクションを実現するために思考顔は重要かもしれない.
しかし,アンドロイドにおいて思考顔を表現するために必要な顔パターンは不明であり,未だ研究されていない.

本研究では,(a)人が複雑な質問に答えているときの顔パターン(=思考顔)を同定し,(b)観察された思考顔をアンドロイドに実装することで,人間とロボットの自然なインタラクションを促進できるかどうかを明らかにすることを目的とする.

研究1では,40人の参加者が難しい質問を投げかけられた後の顔の動きを分析し,思考顔に相当する5つの顔パターンを示した.

研究2では,観察された思考顔のパターンのうち,眉をひそめ,目を細めるパターンにさらに注目し,このパターンをアンドロイドに実装した.
その結果,思考顔はアンドロイドにおいて,思考中であること,本物の表情であること,人間らしいこと,適切であることの認知を高める一方で,不気味さを低下させることがわかった.
また自由記述データからは,ネガティブな感情が思考顔に帰属することが明らかになった.





研究3では,質問応答状況において,思考顔と中性顔を比較した.
その結果,アンドロイドの思考顔は,思考中であることや人間らしさの知覚を促進することが示された.

これらの結果から,アンドロイドの思考顔が人間とロボットの自然なインタラクションを促進することが示唆される.


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