SATO Wataru Laboratory

広汎性発達障害の神経基盤概論


(佐藤弥・魚野翔太・十一元三:子どもへの発達支援のエッセンス2)



広汎性発達障害(Pervasive Developmental Disorder: PDD)は,自閉性障害やアスペルガー障害を含む発達障害の総称である.
本稿では,PDDの神経基盤について論じる.
複数の研究において,比較的一貫してPDD群における解剖学的及び機能的な問題が報告されている脳領域をまとめると,下図となる.
PDDの基本障害は,大きく対人相互作用における問題と常同的行動様式の問題という2つから成る.
対人相互作用の問題は,顔知覚,表情や視線の処理,模倣といった下位要素の問題に分解可能であろう.神経科学的知見から,PDD群の対人相互作用の障害の神経基盤として,顔の知覚に関わる紡錘状回,表情や視線の処理に関わる上側頭溝や扁桃体,模倣に関わる下前頭回といった領域の問題があることが示される.
また,PDD群の常同的行動様式の神経基盤として,大脳基底核の膨張という問題があることが示される.







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