SATO Wataru Laboratory
表情と逆表情の検出
(Sato & Yoshikawa: Vis Cogn)
感情を表す表情は，中性表情に比べて効率的に検出されるという報告がある．
しかし，その効果が，視覚的な要因によるのか，感情的な要因によるのか，不明であった．
この問題を検討するため，我々は，写真刺激による視覚探索実験を行った．
複数の中性表情の中に，ターゲットとしての怒りあるいは喜びの表情が1つ呈示された．
ターゲットとして，逆表情も呈示された．
逆表情は，中性表情を基準として感情的表情と同じ大きさの視覚的変化を表しつつも，中性的な感情を表現した．
結果は一貫して，感情的表情（怒りも喜びも）の検出の反応時間が，逆表情の場合よりも短いことを示した．
表情の検出時間は，主観的感情覚醒度の評定値と負の関係を示した．
こうした結果は，感情的表情の効率的な検出が，視覚的属性ではなく感情的意義に起因することを示唆する．
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