SATO Wataru Laboratory

食物の無意識視覚処理における扁桃体の活動


(Sato, Kochiyama, Minemoto, Sawada, & Fushiki: Sci Rep)



食物への感情処理は,ヒトの生活にプラスの意味(例えば生存を助ける)でもマイナスの意味(例えば生活習慣病をもたらす)でも重要である.
行動研究は,食物画像に対してすばやく−意識的気づきなしにも−感情反応が喚起されることを示している.
多くの脳画像研究が食物画像の意識的処理について調べているが,無意識の食物処理の神経メカニズムは不明である.

この問題を調べるため我々は,閾下・閾上呈示された食物画像・モザイク画像に対する脳活動をfMRIで計測した.



解析の結果,閾下・閾上条件で共通して,両側の扁桃体が食物画像に対してモザイク画像より強く活動することが示された.



閾上条件では閾下条件より強く,広範な後方領域(ピークは紡錘状回)が食物画像に対してモザイク画像より強く活動した.



動的因果モデリング解析から,閾下条件の食物処理では皮質下の視覚経路(視床枕→扁桃体)モデルが支持された.
閾上条件の食物処理では,皮質下と皮質上(第一次視覚野→紡錘状回→扁桃体)の両視覚経路モデルが支持された.



こうした結果から,食物の無意識感情処理には皮質下視覚経路による扁桃体の活動が関与する可能性が示唆される.


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