SATO Wataru Laboratory

アンドロイドの目に心を読み取ってつられる


(Sato, Shimokawa, Uono, & Minato: Sci Rep)


ヒトのコミュニケーションにおいて,目は特別な役割を果たす.
これまでの心理学的研究では,ライブ相互作用の中で,他者の目に対して反射的に注意シフトが起こることが報告されている.
ロボットは様々な社会場面でヒトと協調することが期待されているが,ロボットの目がヒトの目と同様に,特に心の読み取りに基づいて注意シフトを起こすかどうかは不明であった.

我々は,アンドロイドを用いたライブ視線手がかりパラダイムを用いた一連の実験でこの問題を検討した.
実験1では,ヒト参加者の前に置かれたアンドロイドの目と頭部で,非予測的な手がかりが示された.
周辺視野の発光ダイオードがターゲット信号として用いられた.
手がかりが有効だった場合にターゲットを同定する反応時間(RT)は,目と頭部どちらのタイプの手がかりでも,無効な場合のRTよりも速かった.
実験2では,アンドロイドの目の方向が周辺ターゲットの発光の前に変化し,アンドロイドからターゲットを見えなくする障壁を置く条件と置かない条件が設定された.
障壁がない条件でのみ,RTは有効な視線手がかりの場合に速くなった.
実験3では,障壁があってもアンドロイドが注意を向けることができるよう,ターゲットが光から音に変更された.
音に対するRTは,障壁の有無にかかわらず,有効な手がかりの場合に速かった.





これらの結果から,ヒトは自動的に,アンドロイドの目に心を読み取ってつられることが示唆される.


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