SATO Wataru Laboratory

表情の効率的検出の電気生理学的基盤


(Sawada, Sato, Uono, Kochiyama, & Toichi: Brain Res)



行動研究は,感情表情が中性表情よりもすばやく正確に検出されることを報告してきた.
しかし,この効率的な表情検出の神経メカニズムは不明であった.

このメカニズムを調べるため我々は,中性表情群の中にある怒り・幸福の通常表情・逆表情を検出する視覚探索課題を遂行中の事象関連電位(ERP)を計測した.
逆表情は,モーフィングで作成され,中性表情を基準とすると感情表情と同量の相貌変化を表出し,感情的には中性と認識された.



行動データにおいて,通常表情は逆表情に比べて,より早くより正確に検出され,より活性度が高いと評定された.
ERPデータにおいて,通常表情は逆表情に比べて,200-400msにおける初期後方陰性変位(EPN)をより大きく喚起した.
さらに,より大きなEPNが,より早くより正確な検出およびより高い活性度と関係することが示された.





こうした結果から,感情表情の効率的な検出が,表情の感情的意義に基づく200-400msにおける後方視覚領域の活動促進により実現されることが示唆される.



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