SATO Wataru Laboratory

すばやい表情検出における性差


(Sawada, Sato, Kochiyama, Uono, Kubota, Yoshimura, & Toichi: PLoS One)



背景:
先行研究は,表情認識といった表情の処理に性差があること,感情を表す表情は中性表情よりもすばやく検出されること,を報告してきた.
しかし,感情表情のすばやい検出における性差は不明であった.

方法・主要結果:
我々は,44人の女性と46人の男性を対象として,視覚探索課題において怒りと幸福の通常表情と逆表情を検出する反応時間を計測した.
逆表情は,中性表情を基準とすると感情表情と同量の相貌変化を表出し,感情的には中性と認識された.
表情刺激に対する主観感情の評定も調べた.



反応時間の結果は,男女とも,通常表情を逆表情よりも早く検出し,通常怒りを通常幸福より早く検出することを示した.
しかし,主観感情評定では男女で異なるパタンが示された.
さらに,主観感情評定と反応時間の関係において,性差が示された.
高い活性度とすばやい検出の結合は女性においてより顕著であり,不快な感情価とすばやい検出の結合は男性においてより顕著であった.



結論:
こうした結果は,女性と男性が,表情に対する主観感情反応において異なっており,感情による表情検出の調整において異なっていることを示唆する.


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