SATO Wataru Laboratory

閾上と閾下の視線による注意シフトにおける前頭-頭頂部の活動の時空間共通性:事象関連電位研究


(Uono, Sato, Sawada, Kochiyama, & Toichi: Biol Psychol)



視線は,意識的知覚がある場合もない場合も,注意シフトをもたらす.
意識的・無意識的な注意シフトで,電気的神経活動の時空間パタンが同じかどうかは不明である.

この問題を調べるため本研究では,事象関連電位を計測して,閾上・閾下で呈示された視線手がかりによる注意シフトにおける神経活動を調べた.
視線手がかりは中心視野に呈示され,被験者は周辺視野の標的刺激を検出した.



閾上条件でも閾下条件でも,それた視線の方向が標的位置に一致する場合に,不一致の場合より反応時間が短縮された.
事象関連電位の解析から,閾上条件でも閾下条件でも,それた視線に対してまっすぐな視線よりも強い陰性変動が,両側の前頭-頭頂部および側頭部において278〜344ミリ秒で示された.
閾上条件では,視線方向に関わらず,閾下条件よりも強い陰性変動が,右側後方部において約170ミリ秒と200〜300ミリ秒で示された.



こうした結果から,閾上と閾下の視線による注意シフトに,時空間的に同様の前頭-頭頂部の活動が関与していること―視覚入力経路は皮質上と皮質下で異なるかもしれないが―が示唆される.


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