SATO Wataru Laboratory

発作性恐怖のある側頭葉てんかん患者における表情認識


(Yamada, Murai, Sato, Namiki, Miyamoto, & Ohigashi: Neuropsychologia)



発作性恐怖(ictal fear: IF)は,側頭葉てんかん患者で示される感情的前兆の一つである.
IFに関与する神経機構として,扁桃体が示唆されてきた.
多くの研究が,IFのある患者の感情経験に障害があることを報告している.
しかし,こうした患者における感情認識は検討されていない.

本研究では,IFのある患者1名を対象として,表情からの感情認識を調べた.
患者は側頭葉てんかんのためにIFを発症していた.
患者は海馬切除手術を受け,これによりIFは抑制された.
検査は,術前と術後に行われた.





術前,患者はさまざまな表情について,恐怖・悲しみ・怒りを高く認識する傾向があった.
術後,この傾向は消失した.





術前における歪んだ表情認識の神経基盤として,てんかんに伴う扁桃体の過剰活性の可能性が示唆される.



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