SATO Wataru Laboratory
モナカアイスクリームのマルチモーダルなサクサク感によって誘発される快感情と神経活動
(Yamamoto, Tanaka, Kochiyama, Nota, Tsuchiya, Kawamoto, & Sato: Front Nutr)
モナカアイスは,二枚のウエハースでアイスクリームを挟んだ冷凍菓子である.
これまでの心理学的研究では,水分含有量が比較的低いモナカアイスはサクサクした食感をもたらし,摂取時の快な感情を高めることが報告されている.
しかし,こうした主観的印象の神経基盤は不明であった.
そこで本研究では,サクサクしたモナカアイスクリームが快感情を喚起する神経メカニズムを解明することを目的とした.
健康な成人10名が本研究に参加した.
参加者はまず,2種類のモナカアイスクリーム(低水分含有量:約7%,高水分含有量:約12%)を無作為な順序で摂取した.
摂取方法として,手でアイスクリームを半分に割って,動画サンプルごとに3口食べるという方法を採用した.
その後,参加者は自身の摂取体験を想起しながら低水分含有量と高水分含有量のモナカアイスクリームのマルチモーダル(視覚+聴覚)動画を視聴し,その間の機能的磁気共鳴画像法(fMRI)を撮像した.
fMRI撮像中,参加者は4段階尺度で選好評定した.

低水分含有量のモナカアイスクリームは,高水分含有量のクリームよりも選好評定が高かった.
低水分条件では,高水分条件と比較して両側聴覚野および両側腹内側前頭前野でより強い活動が誘発された.
さらに,選好評定腹内側前頭前野の活動と正の相関を示した.


これらの知見から,サクサクしたモナカアイスクリームの多感覚処理に聴覚野と腹内側前頭前野の活動が関与しており,後者が主観的な快感情の生成に寄与していることが示唆される.
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