SATO Wataru Web Lab
自律神経機能評価のために: 心電図R-R間隔ローレンツプロット解析プログラム（エクセルVBA）の開発
心電図R-R間隔データから自律神経系の交感系・副交感系を個別に評価することのできる「ローレンツプロット」解析．
これを，エクセルVBAプログラムにしてみました．
ローレンツプロットは，もともと気象学の分野で非線形の時系列の解析に用いられていたものですが，近年脳波など生体信号の解析に応用されてきています．
このローレンツプロットを用いてToichi et al.(1997)は，R-R間隔データからの心自律神経機能評価法を案出しました．
Toichi et al.は，交感神経遮断剤・副交感神経遮断剤を用いた検討により，従来の心拍振動や周波数解析では不可能であった交感・副交感神経機能の個別評価が，ローレンツプロットを用いることで短時間の心拍測定（2分程度）から得られたことを報告しています．
この方法の妥当性は，海外の別グループによっても確認されています(Allen et al., 2006)．
この方法を用いた応用研究としてこれまで，精神分裂病者の精神症状に伴う自律神経機能の変化を検討した研究(十一ら, 1998)，脳波Fmθ波と自律神経機能の関係を検討した研究（佐藤ら, 1999; Kubota et al., 2000)などが報告されています．
このプログラムを↓に置いておきます．
ProgLorenzPlot.zip (ZIP圧縮してあります．ダウンロードして使ってください）
本プログラムを使われて論文などに書く場合，以下の名前でお願いします．
Sato, W., Imamura, K., & Toichi, M. (2002) Lorenz Plot Analysis of Cardiac Autonomic Function [unpublished computer software], Kyoto: Kyoto University.
どんどん研究に役立てていただければと思います．
文献
Allen et al. (2007) The many metrics of cardiac chronotropy: A pragmatic primer and a brief comparison of metrics. Biol. Psychol., 74, 243-262.
Kubota et al. (2001) Frontal midline theta rhythm is correlated with cardiac autonomic activities during the performance of an attention demanding meditation procedure. Cogn. Brain Res., 11, 281-287.
佐藤ら(1999) Fmθ出現時における自律神経活動の変化. 臨床脳波, 42, 103-107.
十一ら(1998) 精神分裂病における精神症状に伴う自律神経機能の変化. 精神医学, 40, 37-42.
Toichi et al. (1997) A new method of assessing cardiac autonomic function and its comparison with spectral analysis and coefficient of variation of R-R interval. J. Auton. Nerv. Syst., 62, 79-84.
(2002/4/17初稿 2010/12/7一部改)
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