SATO Wataru Laboratory

ヴァーチャル洪水体験は感情的・神経的な関与を通じて防災意識を高める


(Fujimi, Kochiyama, Sato, & Watanabe: Risk Anal)


気候変動によって洪水のリスクが高まる中,持続可能な社会を実現するためには,個人の防災意識を強化することが不可欠である.

本研究では,一人称視点の3次元コンピュータグラフィックスによる洪水動画が,公式の洪水ハザードマップを補完し,防災意識を高める動機付けとなるかどうかを検証した.
我々はこれらの資料をそれぞれ,体験的情報および記述的情報として用いた.

1,000名の参加者を対象とした事前登録済みのウェブ実験において,洪水動画を見た参加者は洪水地図を見た参加者と比べて,防災意欲にわずかではあるが有意な増加を示した.
媒介分析の結果,測定された心理的変数の中で「恐怖」のみが有意な間接効果を示し,刺激によって喚起された恐怖がこの増加を説明する一因であることが示唆された.





また参加者内計画で45名の参加者を対象に,fMRI実験を実施した.
洪水動画は洪水地図よりも右側扁桃体の活性化を強く引き起こし,これは恐怖に関連する処理と一致していた.



これらの知見をまとめると,一人称視点の3次元コンピュータグラフィックス洪水動画は洪水地図よりも強い恐怖関連反応を誘発し,主観的な恐怖が防災準備の意向に対する効果の一因となるという行動的・神経的な証拠が得られた.
こうした結果から,視覚的に鮮明な洪水動画が,感情的な顕著性を高め洪水への備えの意向を促進することで,地図に基づく情報伝達を補完し得ることが示唆される.


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