SATO Wataru Laboratory

日本と英国における自己報告と行動による感情的自己認識の文化差


(Huggins, Williams, & Sato: BMC Res Notes)


目的:
私たちが感情をどのように表現し説明するかは社会文化的規範によって形成される.
このような社会文化的規範は,感情的自己認識(自分の感情をどのように識別し理解するか)にも影響を及ぼす可能性がある.
これまでの研究では,自己報告を用いた場合,東アジア群は西洋群と比較して感情的自己認識が低いことが判明している.
しかし行動を測定した研究では,東アジア群における感情的自己認識の低下を示す明確な証拠は得られていない.
測定ツールにより感情的自己認識の異なる側面を捉えるのかもしれない.

結果:
この問題をさらに検討するため,自己報告式のトロント・アレキシサイミア尺度(TAS-20)とともに2つの行動測定法である感情一致課題と写真感情分化課題を用いて,日本人成人と英国成人の感情的自己認識を比較した.
日本人は英国人よりもTAS-20の得点が高く,感情的自己認識の困難さを自己報告した.
また日本人の感情一致課題の得点は英国人より低く,感情的自己認識の低さが示された.
写真感情分化課題では,明確なグループ差は見られなかった.
これらの所見から,感情的自己認識の文化差は,使用する課題によって異なることが示唆される.
今後の研究では,感情的自己認識の様々な側面を明らかにすることが望まれる.




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