SATO Wataru Laboratory
ロボットによる高齢者への快な撫でタッチの提供
(Ishikura, Sato, Takamatsu, Yuguchi, Cho, Ding, Yoshikawa, & Ogasawara: Front Psychol)
タッチケアは高齢者に対して臨床的にプラスの効果をもたらす.
タッチケアはロボットを用いることができると,介護者の不足を解消できる.
若年者を対象とした最近の研究では,ロボットを介した撫でタッチは,ヒトのタッチケアと同様の主観的かつ生理学的な快感情反応を引き起こすことが示された.
しかし,高齢者においてロボットによるタッチが同様の反応を引き起こすかどうかは不明である.
我々はこの問題を,ロボットとヒトが2.6cm/sと8.5cm/sの2速度で高齢者の背中を優しく撫でる際の主観評価(感情価・活性度)と生理信号(皺眉筋と大頬骨筋の筋電図および皮膚コンダクタンス反応)を計測することで検討した.
先行研究と同様に,参加者にはロボットだけが撫でると伝えた.
2タイプのエージェント(ロボットとヒト)に撫でられたときの反応について,若年者(先行研究データ)と高齢者の違いを比較した.
主観的には,若年群と高齢群の両方のデータで、8.5cm/sの撫で方は2.6cm/秒の撫で方よりも,ヒトとロボットの両方のエージェントに対してより快で活性度が高いことが示された.
生理的には,8.5cm/sの撫で方は2.6cm/sの撫で方よりも,弱い皺眉筋筋活動と強い皮膚コンダクタンス反応を誘発した.
これらの結果から,高齢群の反応パターンが若年群と類似しており,ロボットによる撫でタッチが高齢者に快の感情反応を引き起こす可能性が示唆される.
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