SATO Wataru Laboratory

愉快・困惑・痛みの笑顔の時空間特性


(Namba, Sato, & Matsui: J Nonverbal Behav)


笑顔は普遍的でありながらニュアンスを含む表情であり,対面コミュニケーションにおいて最も頻繁に使われる.
先行研究は様々なタイプの笑顔の間で空間的・時間的特性が異なる可能性を示唆しているが,これらの特性を徹底的に分析した研究はない.

本研究では,自発的表情データベースを用いて,愉快(amused),困惑(embarrased),痛み(pain)を伝える笑顔の時空間特性を明らかにすることを目的とした.

その結果,空間的パターンに関しては,痛みの笑顔は愉快な笑顔に比べ,目の収縮が少なく,顔全体の緊張が強いことが明らかになった.
時間的特性については,困惑や痛みによる笑顔は愉快な笑顔よりも,高い顔面緊張状態を維持した.
さらに困惑の笑顔は愉快な笑顔に比べ,緊張状態から笑顔状態への変化が緩やかであり,痛みの笑顔は愉快な笑顔に比べ,笑顔状態に留まったり笑顔状態に移行したりする確率が低かった.





これら3種類の笑顔の時空間特性を比較することで本研究は,離散的な状態間の遷移確率が,愉快・困惑・痛みの笑顔の区別に役立つことを明らかにした.


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