SATO Wataru Laboratory
視線による反射的注意シフトに側頭葉内側部が関与している
(Okada, T., Sato, W., Kubota, Y., Usui, K., Inoue, Y., Murai, T., Hayashi, T., & Toichi, M.: Soc Cogn Affect Neurosci)
他者に視線により反射的に注意シフトが起こることが示されている.
この反射的な視線処理に側頭葉内側部が関与しているかどうかを調べるため,7名の側頭葉内側部切除患者および9名の統制群(年齢・知能マッチ)を対象として,視線手がかりパラダイムでの実験を行った.
視線手がかりが片側視野に200ms呈示された.
続いて,ターゲット刺激が呈示された.
課題は,ターゲットの位置検出であった.
視線方向がターゲットの位置を予測するものでないことは教示されていた.
視線手がかりが切除患者の健常半球あるいは両半球を刺激するものであったとき,視線がターゲットのほうを向いている場合に向いていない場合に比べて,課題の反応時間は短くなった.
この視線の効果は,刺激が切除患者の切除半球を刺激するものであったときには示されなかった.
こうした結果は,扁桃体を含む側頭葉内側部が,他者の視線による反射的な注意シフトにおいて重要な役割を果たすことを示す.
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