SATO Wataru Laboratory
動的表情に対する自発的な表情模倣
(Sato, W. & Yoshikawa, S.: Cognition)
動的表情に対してミラーニューロンが活動するという神経科学的知見に基づいて,我々は動的表情を見ているときに表情模倣が起こると仮説を立てた.
この仮説を検証するため,動的・静的な怒り・喜びの表情を,コンピューターモーフィング(実験1)とビデオ(実験2)を用いて呈示した.
被験者の表情反応がビデオ録画され,表情筋反応が客観的基準を用いて評価された.
どちらの呈示方法の場合にも,動的呈示条件において,喜びよりも怒りの表情を見たとき,高い頻度で眉を引き下げる動きが示された.
これは怒り表情に典型的な表情表出である.
動的呈示条件において,怒りよりも幸福の表情を見たとき,高い頻度で口角を引き上げる動きが示された.
これは喜び表情に典型的な表情表出である.
表情表出の潜時は,900msよりも短かった.
表情表出はナイーブな評定者にも認識可能なもので,刺激表情の感情にあわせて不快あるいは快の表情として認識された.
こうした結果は,動的表情が自動的にすばやく表情模倣を喚起することを示す.
こうした表情模倣は,個人内処理(共感など)にも個人間コミュニケーションにも役立つだろう.
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