SATO Wataru Laboratory

非行少年における表情の誤認識


(Sato, Uono, Matsuura, & Toichi: Child Adolesc Psychiatry Ment Health)



非行少年において表情認識に障害があることが報告されているが,その詳細は不明である.

本研究では,少年院に入所している男性非行少年群24名および年齢・性別統制群24名を対象として,この問題を検討した.
基本6感情(怒り・嫌悪・恐怖・幸福・悲しみ・驚き)の表情写真に対する言語ラベリングの選択課題を実施した.

正答率の分析の結果,非行少年群において,統制群よりも嫌悪の表情の認識成績が低いことが示された.
エラー率の分析の結果,非行少年群は,統制群に比べて嫌悪表情を怒りと誤認識しやすいことが示された.






本研究の結果から,非行少年における対人相互作用の問題の基盤に,他者の表情をうまく認識できない――嫌悪の表情をより敵意の強い怒りと読み取ってしまう――心理過程があることが示唆される.



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