SATO Wataru Laboratory

逆表情:表情の視覚的特性についての統制刺激


(Sato & Yoshikawa: Soc Behav Pers)



感情を表す表情について,中性表情に比べて視覚的・認知的処理が効率的であるという報告がある.

しかし,その効果が,視覚的な要因によるのか,感情的な要因によるのか,不明である.

この問題を調べるために,我々は,コンピュータモーフィングを使って「逆表情」という新しい統制刺激を作った.
逆表情では,感情的表情の相貌特徴を,中性表情を基準として同じ量だけ逆の方向に変化させた.
逆表情が感情的に中性な刺激として使えるかどうか検討するため,35名の被験者を対象として,基本6感情の感情的表情および逆表情について,カテゴリ化および次元的評定を求めた.



その結果,驚き以外の逆表情に対して最も多く選ばれたのは,「中性」のカテゴリであった.
次元的評定では,悲しみと驚き以外の逆表情は,感情的表情に比べて感情の強度が弱いことが示された.



こうした結果は,逆表情(特に怒り・嫌悪・恐怖・喜びの)が,視覚的特徴に関する感情的表情の統制刺激として使用可能であることを示す.




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