SATO Wataru Laboratory

動的表情処理における扁桃体−新皮質の相互作用の方向


(Sato*, Kochiyama*, Uono, Yoshikawa, & Toichi (* equal contributors): Cereb Cortex)



動的な表情は,多様な感情・知覚・認知・運動反応を喚起する.
脳画像研究は,皮質下(扁桃体など)と新皮質(上側頭溝・下前頭回など)およびそれらの領域の相互作用が,動的表情の処理に関与することを示してきた.
しかし,扁桃体と新皮質の相互作用の方向は,不明であった.

この問題を検討するため,我々は2つのfMRI研究と1つのMEG研究のデータを再解析した.

まず,fMRIデータについて心理生理相互作用(PPI)解析を実施したところ,扁桃体と新皮質の相互作用が確認された.



次に,fMRIデータとMEGについて,動的因果モデリングにより,扁桃体と新皮質の間で順方向・逆方向・双方向に影響があるモデルを比較した.
結果は一貫して,扁桃体から新皮質に影響があるモデルを支持した.





さらにMEGデータについての時間窓拡大解析から,このモデルが刺激呈示後200msから妥当であることが示された.



こうした結果から,動的表情を観察したとき,扁桃体での感情処理が新皮質での知覚・認識・運動模倣反応をすばやく調整することが示唆される.


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