SATO Wataru Laboratory
ホメオスタシス状態による食物への無意識感情反応の調整
(Sato, Sawada, Kubota, Toichi, & Fushiki: BMC Res Notes)
食物に対する感情反応は,食行動に大きな役割を果たしている.
先行行動研究は,食物への感情反応が,意識的にも無意識的にも喚起されることを示す.
また先行研究は,空腹・満腹という身体ホメオスタシス状態が,食物への意識的な感情反応を調整することを示す.
しかし,身体ホメオスタシス状態が,食物への無意識的な感情反応に影響を与えるかどうかは不明である.
本研究はこの問題を,空腹あるいは満腹の状態の被験者を対象として,食物画像を刺激とした閾下感情プライミングで検討した.
食物あるいはモザイクの画像がプライムとして周辺視野に閾下呈示され,直後に中性表情の顔画像がターゲットとして呈示された.
被験者は,顔について選好評定した.
さらに日常の食行動について質問紙で尋ねた.
空腹状態では,顔についての選好反応は,食物プライミングでモザイクプライミングの場合よりも高まった.
満腹状態ではこうした効果が示されなかった.
空腹条件での食物プライミングの効果は,日常の外発的食行動(刺激により食行動が促進される)の程度と正の相関を示した.
こうした結果から,身体ホメオスタシス状態が,食物への無意識の感情反応を調整していること,日常の食行動に影響していることが示唆される.
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