SATO Wataru Laboratory
感情的な相互作用のためのアンドロイド:その表情の時空間的妥当性の検証
(Sato, Namba, Yang, Nishida, Ishi, & Minato: Front Psychol)
ヒトと感情的相互作用ができるアンドロイドロボットは,研究に有用である.
ヒトらしい感情的表情の表出を目指したアンドロイドの開発研究はいくつかあるが,アンドロイドの表情の妥当性を実証的に調べた研究はほとんどない.
この問題を検討するため我々は,心理学の知見に基づいてニコラと呼ばれるアンドロイドの頭部を開発し,その表情の妥当性を検証した.
研究1では,ニコラが単一の表情アクションユニットを生成し,それが顔面符号化システムによってによって評価された.
17のアクションユニットが適切に生成されることが示された.
研究2では,ニコラが6基本感情(怒り・嫌悪・恐怖・幸福・悲しみ・驚き)の典型的な表情を表出し,参加者がその表情の写真にラベリングした.
すべての感情の表情が,チャンスレベルよりも高く認識された.
研究3では,ニコラは4つの異なる速度で6基本感情の動的表情を表出し,参加者は各表情の速度の自然さを評価した.
ヒト表情について調べた先行研究の結果と同様に,速度の影響は感情によって異なった.
こうした知見から,ニコラの表情の空間的・時間的妥当性が示され,ニコラが将来の心理学研究や実社会応用に役立つ可能性が示唆される.
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