SATO Wataru Laboratory

ユマニチュードケア達人における共感的特徴の行動・神経基盤


(Sato, Nakazawa, Yoshikawa, Kochiyama, Honda, & Gineste: Front Med)


背景:
ユマニチュードケアは高齢者介護におけるいい効果を示している.
しかし,ユマニチュードケアの専門家における共感的特徴の行動・神経基盤は不明である.

方法:
ユマニチュードケア達人(YG)と年齢,性別,人種をマッチさせた統制群の共感的特徴について調査した.
行動研究では,怒りと幸福の動的表情とそのランダム化モザイクパターンを観察し,主観的な感情価・活性度の評定と,皺眉筋・大頬骨筋の筋電図を測定した.
機能的MRI研究では,参加者が同じ動的表情とモザイクを受動的に観察している間の脳活動を測定した.
構造的MRI研究では,構造的MRIデータを取得し,灰白質体積を分析した.



結果:
行動データから,YGは統制群と比較して,より高い主観活性度を経験し,刺激表情に一致した表情筋活動をより強く示した.
機能的MRIのデータから,YGは統制群と比較して,動的表情に対して,右腹側運動前野(中心前回と下前頭回をカバー)と後部中側頭回でより強い活動を示した.
構造MRIのデータから,YGでは右腹側運動前野の灰白質の体積が統制群よりも高いことが明らかになった.







結論:
これらの結果から,ユマニチュードケアの専門家は共感的な社会的相互作用に関連する行動的・神経的特徴を有することが示唆される.


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