SATO Wataru Laboratory

表情筋筋電図におけるクロストークと独立成分分析によるその低減


(Sato & Kochiyama: Sensors)


皺眉筋と大頬骨筋からの筋電図が,主観的感情体験の評価に貴重な情報を提供するという多くの証拠がある.
先行研究では,表情筋筋電図データは隣接する表情筋からのクロストークに影響される可能性が示唆されていたが,そのようなクロストークが実際に発生するか,発生する場合どうすれば低減できるかは,いまだ不明である.

これらの問題を調べるために,参加者に,しかめっ面,笑顔,発話,咀嚼という顔面動作を単独であるいは組み合わせて行うように指示した.
これらの動作の間,皺眉筋,大頬骨筋,咬筋,舌骨上筋の表情筋筋電図を測定した.
筋電図データを独立成分分析し,クロストーク成分を除去した.



発話と咀嚼により,咬筋と舌骨上筋とともに,大頬骨筋電極において筋電図活動が誘発された.
独立成分分析により再構成された筋電図信号は原信号と比較して,発声と咀嚼による大頬骨筋活動への影響を減少させた.





こうした知見から以下のことが示唆される: (1)口の動作は大頬骨筋筋電図にクロストークを引き起こす可能性があり,(2)独立成分分析はそのようなクロストークの影響を軽減できる.


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