SATO Wataru Laboratory
主観的幸福の電気的神経相関
(Sato, Kochiyama, & Uono: Hum Brain Mapp)
幸福は,人間にとって究極の目的となる主観的な経験である.
最近の研究は,安静時機能的磁気共鳴画像を撮像した結果,楔前部における自発的な変動(低周波振動振幅強度:fALFF)が主観的幸福と負の関連を示すと報告した.
しかし,主観的な幸福の電気的な神経相関は不明である.
これにより,神経活動の直接的な証拠や,その基盤となる心理・細胞・神経伝達物質のメカニズムに関する洞察が得られる可能性がある.
これを調べるため,質問紙で主観的幸福を査定した参加者において,400チャンネル全頭型の脳磁図(MEG)で安静時の脳活動を計測した.
バンドパスフィルタ処理したMEGデータを用いた電流源再構成を実施し,自発的神経活動の指標としてバンド制限パワー時系列のfALFFを分析した.
その結果,右楔前部のガンマ帯域fALFF値は,主観的幸福スコアと負の相関を示した.

この結果は,主観的幸福が右楔前部におけるガンマ波振動の減少という電気的な神経相関を有することが示される.
この知見から幸福に,心理的には心の迷いや執着の低減が関係し,神経的にはNMDA受容体依存GABA作動性介在PVニューロンの活動上昇が関係することが示唆される.
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