SATO Wataru Laboratory

アスペルガー障害者において動的な恐怖の視線は注意シフトを促進しない


(Uono, Sato, & Toichi: Brain Cogn)



自閉性障害やアスペルガー障害を含む広汎性発達障害において,共同注意の障害は臨床的な特徴の一つである.
しかし,実験的研究は,障害を見出していない.
この乖離は,現実と実験の状況の違いに起因するかもしれない.

本研究では,11名のアスペルガー障害群および11名の年齢対応群を対象として,動的で感情をあらわす視線を刺激としたより自然な状況で検討した.




両群とも視線による自動的な注意シフトを示したが,中性表情に比べた場合の恐怖表情による促進効果は,統制群でのみ示され,アスペルガー障害群では示されなかった.



こうした結果は,アスペルガー障害者において,強い共同注意をもたらす視線と表情の統合過程に障害があることを示す.




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