SATO Wataru Laboratory
特定不能の広汎性発達障害とアスペルガー障害における共通および特異な表情認識障害
(Uono, Sato, & Toichi: Res Autism Spectr Disord)
本研究では,表情認識課題を用いて,特定不能の広汎性発達障害(PDD-NOS)の人に見られる社会的相互作用の問題および関連する特徴を調べた.
基本6情動の表情の認識成績について,PDD-NOS群とアスペルガー障害(ASP)群と定型発達統制(CON)群を比較した.
PDD-NOS群とASP群は,CON群に比べて,恐怖表情の認識成績が低かった.
PDD-NOS群は,ASP群に比べて,嫌悪表情の認識成績が低かった.
こうした結果は,表情認識において,広汎性発達障害のサブタイプによって共通および特異な障害があることを示唆する.
さらに,PDD-NOS群とASP群において,恐怖表情(嫌悪表情ではなく)の認識低下が社会性の問題の重篤度と関係することが示された.
こうした結果は,恐怖表情の認識低下は広汎性発達障害のサブタイプに共通した社会性の問題を反映し,嫌悪表情の認識低下はPDD-NOSに特異的な問題を反映することを示唆する.
関連する脳損傷および他の精神疾患の知見と照らし合わせながら,PDD-NOSの特徴について議論した.
最近の研究にもどる
メインにもどる