SATO Wataru Laboratory

自閉症スペクトラム障害における非定型の表情認識の構造的神経相関


(Uono, Sato, Kochiyama, Yoshimura, Sawada, Kubota, Sakihama, & Toichi: Brain Imaging Behav)


先行研究は,自閉症スペクトラム障害(ASD)を持つ人は,定型発達者(TD)よりも表情認識の成績が低いと報告している.
本研究では,ASD群とTD群における表情認識の構造的神経相関の違いを検討した.

高機能成人ASD群27名と年齢・性別対応の成人TD群27名の構造的脳画像を撮像した.
表情認識は,6基本感情(怒り・嫌悪・恐怖・幸福・悲しみ・驚き)の表情のラベリング課題で調べた.

表情認識の成績では,知能を統制すると群間の差は示されなかった.
しかし, 構造的脳画像の興味領域解析から,TD群では6感情を平均した表情認識の正答率が右下前頭回の灰白質体積と正に関係するが,ASD群ではこうした関係が示されないことが分かった.
各感情条件での全脳解析から,ASD群のみで嫌悪表情の正答率が左背内側前頭前野の灰白質体積と正に関係することが示された.





こうした異なる相関パタンから,ASD群とTD群が,表情認識において異なる処理メカニズムを用いることが示唆される.


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